竹元椎子 (タケモトシイコ=)

竹元家の長女。岩柿中学の二年生。フォークのレコード鑑賞と詩を書くことが趣味。 控えめな性格ではあるが、内気というわけではない。 妹思いで、将来の夢は看護婦。フォークソング部でギターを始めてからは、オリジナルの曲を作るのを夢見ている。切ない思いをしないために、いつも野球に興味の無いふりをしている。


竹元れんげ (タケモトレンゲ)

竹元家の次女。小学三年生。 悪ガキ三人組の一人。 負けず嫌いで頑固。プロレスとあのねのねのファンで、時々、大人顔負けの、ませたことを口走ることがある。が、子供番組「ジャイアント仮面」のファンだったりもする。幼い時に受けた手術の後遺症で、雨の日に偏頭痛が起こるという持病を抱えている。


竹元郁子 (タケモトイクコ)

椎子とれんげの母。料理が得意という訳ではないが、たびたび作る特製かき揚げは、近所でも評判が良い。元々、超常現象好きであったが、皮肉なことに、時間が繰り返すようになってから、わりと現実的になった。巨人が大っ嫌いで、巨人戦の裏番組を見るのを楽しみにしている。


竹元正造 (タケモトショウゾウ)

椎子とれんげの父。そこそこの巨人ファンで、野球バカトリオの一人。尻に敷かれ気味で、家では小さくなっているが、巨人戦の時だけはかじりついてテレビを独占している。誠次郎といっしょに 川魚の養殖試験場を管理しているが、村人たちからは、ほとんど仕事らしい仕事はしていないと思われている。クモとゲジゲジが苦手。


松田祐輔 (マツダユウスケ)

悪ガキ三人組のリーダー。一人っ子で、父親が出稼ぎに出ているため、母と二人で暮らしている。いたずら好きで、毎回訪れるゲストに、必ず何か悪さを仕掛ける。しかし、ラジオ体操と登校日は一度も欠かしたことがないという、まじめなところもあったりする。


松田静香 (マツダシズカ)

祐輔の母。祐輔が悪さをするたびに頭を下げているが、実はそれほど気にしてはいない。悪ガキたちの母親(竹元郁子と梅川福江)同士で仲がいい。


梅川寛太 (ウメカワカンタ)

悪ガキ三人組の一人、少々太り気味だが、体格は良い。しかし、性格は内気でおとなしく、気が小さいから、いたずらはほとんど祐輔にそそのかされ、やらされている。動きはトロいが、食べ物に関しては敏感に反応する。五人兄弟の末っ子だが、兄たちは全て独立し、他所の町に住んでいる。


梅川福江 (ウメカワフクエ)

寛太の母。女性にしては大柄だが、温和で優しいおばさん。しかし、寛太によると、家庭内では大変怖いらしい。


山科由美 (ヤマシナユミ)

椎子の一つ下の後輩。幼い頃に椎子とよく遊んでいたが、椎子が小学校に入学した頃から疎遠気味になっていた。しかし、お互い中学生になって、また仲良くなった。歌が上手で、椎子と光子の三人で結成しているフォークグループのボーカルを担当している。同級生の光子と幼い時から仲が良く、いつも一緒に行動している。回りに影響を受けやすくちょっと優柔不断なところがある。


村川光子 (ムラカワミツコ)

椎子の一つ下の後輩。由美と同じで、中学に入ってから、再び椎子と仲良くなった。時々、きつい冗談を言ったりするが、根は優しい。しっかりしてそうに見られるが、感情的で涙もろい。フォークグループでは、サイドギターを担当している。熱狂的な巨人ファンの父を持ち、時々、家が野球バカトリオのたまり場となってしまうため、そんな時は由美の家に避難している。


村川誠次郎 (ムラカワセイジロウ)

光子の父。熱狂的な巨人ファンで、野球バカトリオ、および、歓迎会実行委員の一人。巨人が負ける日はいつも落ち込むため、野球以外のことまで悲観的な考えをするようになってしまった。しかし、いつの日か奇跡が起きて展開が変わるかもしれないと、負け試合の時だけはわずかな希望を抱き、毎試合、欠かさずテレビ観戦している。同級生である椎子の父と共に、養殖試験場で奥野川の生き物の保護活動を密かに続けている。



谷浦和則 (タニウラカズノリ)

椎子の同級生。ハガキが岩柿村の外に配達されないのを解っていながら、自分の創作話が採用されるのを夢見て、毎週欠かさず鶴光のオールナイト・ニッポンに投稿し続けている。自分のことをムードメーカーだと思っているが、椎子たちからはほとんど相手にされていない。


宇野瀬元信 (ウノセモトノブ)

椎子の同級生。和則と仲がいいが、さすがにハガキの投稿はしていない。和則と一緒にいるときは威勢がいいが、気が小さいため、一人の時は大人しい。

 
登場人物紹介
下谷キク (シモタニキク)

キクちゃん商店の自称看板娘。村の名物「ふくれもち」作りの名人。七十をとうに越えているが、足腰はまだまだ丈夫。若い時に夫に先立たれ、以来、一人暮らしが続いている。 チータの大ファンではあるが、 横文字をよく間違えるためチーターと勘違いしている。しかし、 テレビを見ている時間が多いせいか、若い者より流行に敏感だったりする。未来からの訪問者を「お客さん」ではなく「ゲスト」と呼ぶようになったのも、キクばあちゃんのアイデア。 お気に入りの芸能人司会者が出演者のことをゲストと呼んでいるのを見て、キクばあちゃんが住民たちに提案した。


平田克子 (ヒラタカツコ)

高校三年生で、ふくれもち部のリーダー的存在。椎子と同じような状況で、同級生の女子が岩柿村にいないため、一つ下の明代とは、同級生の友人のように接している。美人でしっかり者。


鈴見明代 (スズミアキヨ)

高校二年生。 おしゃべり好きで、 いつも明るく振る舞っているが、実は寂しがりや。映画「小さな恋のメロディ」に出演していたジャック・ワイルドの大ファン。


藤島孝作 (フジシマコウサク=ゴロベエ先生)

モジャモジャ頭と丸渕メガネがトレードマークの医者。元々、岩柿村の住人ではなかったが、たまたま立ち寄った時に時間が繰り返すようになったため、村に閉じ込められてしまった。竹を割ったような性格で、怒ると怖いが、人望が厚く、村のご意見番として住民たちから崇められている。


高井和徹也 (タカイワテツヤ)

岩柿中学校の教師。二十九歳の独身。元々英語と体育を教える行動派の教師だったが、村の現象の謎を解明するために物理学の勉強を始め、以来、考え事をする時が多くなった。中学校の宿直室を仮住まいにしている。


小松さん

バスの運転手。岩柿村に異常現象が起こる直前、たまたまバスから降りて休憩していたため、村に閉じ込められた。小柄で人の良いおじさん。正常な時間が戻った時のために、バスの手入れをするのが日課になっている。


烏山浩司 (カラスヤマコウジ=村長代理)

村長の弟。顔はそっくりだが、歳は一回り離れている。性格は兄と正反対で優柔不断。野球バカトリオの一人で、そこそこの巨人ファン。兄のような人望は全く無いが、顔がそっくりというだけで、村長代理を務めている。唯一の仕事は実行委員として歓迎会を仕切ること。住人たちからは村長代理、またはモアイ2号と呼ばれている。


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烏山徳之進 (カラスヤマトクノシン=モアイ村長)

失踪中の岩柿村の村長。顔がイースター島のモアイにそっくりなため、モアイ村長というあだ名が付いている。頑固者だが正義感が強く、住民たちから絶大な信頼を得ていて、長期に渡って村長を務めている。村に異常現象が起こる直前、急用のために自分のバイクで町へ出かけようとしたが、エンジンがかからず、慌てて停車中のバスに飛び乗ってしまった。高井和先生の仮説で、未来のどこかを彷徨っているとされている。


小森美香子 (コモリミカコ)

隣村に住む椎子の同級生で、椎子の一番の親友。夏休みが繰り返す前まで、椎子といっしょに野球部の練習を見物していた。時間が繰り返すようになった岩柿村には存在していない。


吉澤真吾 (ヨシザワシンゴ)

椎子が思いを寄せている中学三年の野球部の男子。無口だが、取り巻きが出来るほど、同級生の女子たちに人気がある。 時間が繰り返すようになった岩柿村には存在していない。


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バス

岩柿村に異常現象が起こる直前、ピンクの雲の真下にたまたま停車したことから、時空を越えてゲストを運ぶバスになった。七月二十一日の午前十時に、未来からのゲストを乗せて現れ、八月三十一日の午後五時十五分にそのゲストと共に消える。バスが消えた瞬間に、岩柿村は四十二日前の七月二十日の午後五時十五分に時間が戻るため、バスか消えているのは、村の時間で、午後五時十五分から翌日の午前十時までの約半日間になる。それ以外は、バスは村のバス停に停車した状態で存在している。ただし、エンジンがかからないため、動かすことはできない。





© Karin Sonoyama / Sakoyan 2009