世にも怪奇な物語
世にも怪奇な物語
エドガー・アラン・ポー原作の三つの物語を、ヨーロッパを
代表する三人の監督が映像化した1967年のオムニバス映画。
第一話の「黒馬の哭く館」は、中世が舞台。
黒馬の悪夢に取り憑かれた貴族の傲慢な女の話。
監督はロジェ・ヴァディム。
主演は、当時は監督の妻だったジェーン・フォンダで、
弟のピーター・フォンダがいとこ役で共演している。
ポーの短編「メッツェンガーシュタイン」をもとにしている。
第二話の「影を殺した男」は近世が舞台。
自分の分身に怯える男の話。
監督はルイ・マル。主演はアラン・ドロンで二役を演じ、
第一話の監督の前妻だったブリジット・バルドーが共演している。
原作は、短編「ウィリアム・ウィルソン」。
第三話の「悪魔の首飾り」は現代が舞台。
少女の幻覚に悩まされる、映画俳優の話。監督はフェデリコ・フェリーニ。出演はテレンス・スタンプ。
原作は、短編「悪魔に首を賭けるな」。
当時、話題性、知名度とも抜群の
監督と俳優陣を集めて撮られたわりには、
全体的にB級臭が漂う作りになっているのが惜しいが、
それぞれ監督の個性が出ていて、三話とも面白い。
監督たちのセンスの良さを感じる。中でも第三話のフェリーニが素晴らしく、白い毬を持つ少女の演出が実に見事で恐ろしい。
この映画を初めて見たのは三十年以上前のテレビ放映の時だったが、その少女の姿が夢にまで出てきそうで、しばらくの間、夜道を歩くのがとても怖かった記憶がある。
原題●Histoires extraordinaires
公開●1968年 (イタリア、フランス)
監督●ロジェ・ヴァディム(第一話)
ルイ・マル(第二話)
フェデリコ・フェリーニ(第三話)
脚本●ロジェ・ヴァディム/パスカル・カズン/
ダニエル・ブーランジェ(第一話)
ルイ・マル/クレメン・ビドルウッド(第二話)
フェデリコ・フェリーニ/ベルナルディーノ・ザッポーニ(第三話)
出演●ジェーン・フォンダ/ピーター・フォンダ(第一話)
アラン・ドロン/ブリジット・バルドー (第二話)
テレンス・スタンプ/サルヴォ・ランドーネ (第三話)
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