マンタの居候
マンタの居候
マンタが優雅に泳ぐ光景を、時々、テレビで見かけることがある。その時、たいていはマンタの腹にコバンザメがくっ付いている。マンタに限らず、大海をゆったりと回遊する大型の生き物には、よくコバンザメがくっ付いているが、マンタの体形はよほど都合が良いのか、私が所有している海洋写真集のマンタたちには、どれも、それぞれ数匹のコバンザメたちがくっ付いている。
私はつい最近まで、コバンザメというのは、勝手にマンタにくっ付いてご飯のおこぼれをいただく、居候のような魚だと思っていた。ところが、どうやらそうではないらしい。コバンザメたちが食べているのは、ご飯のおこぼれではなく、家主にくっ付いている寄生虫を食べているらしい。ということは、もしもコバンザメが存在していなかったら、写真集のマンタたちの体は、寄生虫だらけになってしまうのだろうか。
そうなるとコバンザメはマンタにとって、居候どころか主治医のような有難い存在、ということになる。それにしても寄生虫だらけのマンタ…あんまり想像したくない。
突出しエッセイ