So
So
秋が近づくと、なぜか聞きたくなるのがこのアルバム。1986年に発売されたピーター・ガブリエルの最大ヒットアルバム。シングルカットされて全米で大ヒットした「スレッジハンマー」よりは、ケイト・ブッシュとのデュエット「ドント・ギブ・アップ」のほうがいい。秋の夜にはぴったりのメロディだったりする。
86年当時、月夜をバックにして抱き合ったピーター・ガブリエルとケイト・ブッシュが、回転しながらこの歌を交互に歌っていた映像が、 MTV関連番組でたびたび流れていた。毎年秋の始まりにこの曲を聞くと、その時の映像を思い出す。
「レッド・レイン」や「メーシー・ストリート」、それから「イン・ユア・アイズ」もいい。べつに秋のことを歌った曲ではないが、秋の始まりには、このアルバムの曲たちがなんとなく似合っている。
ピーター・ガブリエルは1967年に同級生たちとバンドを結成し、1975年に脱退するまでヴォーカルとしてリーダー的な役割をはたしていた。そのバンドというのが、初期のジェネシス。プログレッシブ・ロック・バンドとして、ヨーロッパを中心にカルト的な人気を誇っていた。その後、1977年にソロデビューし、プログレから脱却しようと、さまざまな音楽を取り入れたアルバムを次々と発表するが、なかなか一般受けせずに大ヒットとまではいかなかった。
そうしてソロデビューから9年後、たどり着いた音楽がソロ通算5枚目のこのアルバムだった。プログレの面影はほとんどなく、オシャレで聞き心地の良いPOP色を前面に出した音楽だったおかげで、一部のカルト的ファンからは敬遠されたものの、またたく間にヒットチャートを上昇し、世界中で大ヒットとなった。
このアルバムが発表される直前、ヒットチャートの上位を賑わわせていたのが、ピーター・ガブリエルの後をうけてヴォーカルを担当していたフィル・コリンズ率いる、ジェネシスの「インヴィジブル・タッチ」という曲だった。その後、皮肉にも「So」からシングルカットされた「スレッジハマー」が、「インヴィジブル・タッチ」を追い抜き、チャートの一位を獲得したのは、80年代の洋楽ファンには有名な話である。
このアルバムの25周年記念盤が、2012年の秋にリリースされた。まだ聞いていないが、リマスタリングされ、これまでのCDより音が格段に良くなっているらしい。近々聞いてみようと思う。新生「ドント・ギブ・アップ」を聞きながら、1986年の秋を回想してみたい。
関連CD
インヴィジブル・タッチ
ジェネシス
オリジナルLP=1986年リリース
音楽ちゃんぽん
ピーター・ガブリエル
原題 So
オリジナルLP=1986年リリース
曲目
1. レッド・レイン
2. スレッジハンマー
3. ドント・ギヴ・アップ
4. ザット・ヴォイス・アゲイン
5. マーシー・ストリート
6. ビッグ・タイム
7.ウィ・ドゥ・ホワット・
ウィアー・トールド
8. ディス・イズ・ザ・ピクチャー
9. イン・ユア・アイズ
SO 25周年記念盤 (3CD)
ピーター・ガブリエル
2012年リリース